施政方針

令和5年度施政方針

 

施政方針(令和5年第1回利根町議会定例会) 

  

はじめに 

令和5年第1回利根町議会定例会の開会にあたりまして,ご挨拶を申し上げます。

はじめに,先月6日,トルコ南東部のシリア国境付近を震源とする地震と,その余震により,多数の尊い命が失われました。この場をお借りして,犠牲になられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに,被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
また,一日も早く被害に遭われた方々が,以前のような平穏な暮らしを取りもどすことができるよう,心からお祈りを申し上げます。

さて,今期定例会におきましては,令和5年度予算をはじめ,上程いたしました議案について,ご審議いただくこととなりますが,提出議案などの説明に先立ち,私の町政に対する基本方針と,施策の概要を申し上げ,議員各位並びに町民の皆様方のご理解と,ご協力を賜りたいと存じます。
まず,新型コロナウイルス感染症についてです。国内で初めて感染が確認されてから,3年が経過いたしました。マスク着用の考え方の見直しや,感染症法の位置づけの見直しなど,感染拡大前の日常を取り戻す動きが加速しています。
内閣府が公表した2月の月例経済報告によりますと,「このところ一部に弱さがみられるものの,緩やかに持ち直している」と基調判断を据え置いておりますが,先行については,「ウィズコロナの下で,各種政策の効果もあって,景気が持ち直していくことが期待される」としています。制限が少しずつ緩和されていくなかで,町といたしましても,感染状況に応じた感染防止対策を講じながら,地域経済の活性化に向け,各種施策へ取り組んでまいります。

それでは,令和5年度当初予算の概要につきまして,申し上げたいと思います。

令和5年度予算概要

令和5年度の予算編成にあたっては,予算編成方針を次のようにしております。
新型コロナウイルス感染症による影響の長期化,及び少子高齢化や人口減少社会の急速な進展により,自主財源の大宗をなす町税が減収する一方で,高齢化の進展による社会保障経費が増加するという,構造的な収支不均衡が顕在化しているなか,公共施設の改修等も予定されている。限られた財源と人員を有効に活用し,情報提供などにより町民の行政への関心や参加意識を高め,スピード感をもって質の高い行政サービスを提供できるよう,合わせて町民満足度の向上を図れるよう,町政の展開に努めるものとする。
また,このような状況を共有しながら,第5次利根町総合振興計画に掲げる将来像である「ともに創ろう みんなが住みたくなるまち とね」の実現に向け,
・第5次利根町総合振興計画前期基本計画の着実な推進
・第2期利根町まち・ひと・しごと創生総合戦略の着実な推進
・利根町過疎地域持続的発展計画の推進
・利根町新行財政改革行動計画の推進
・各行政分野における個別計画等の推進
・実態に即した予算要求
・経常経費の削減
・ウィズコロナ・アフターコロナ時代を見据えた取組
これら8つの方針を基本として予算の編成作業にあたらせてきたところです。

令和5年度一般会計の予算規模は,64億9,525万2千円で,前年度当初予算と比較いたしますと,2億8,185万5千円の増,率にしますと4.5%の増となっております。
特別会計につきましては,6つの特別会計の総額は,48億267万5千円となり,前年度比4,152万円の増,率にしますと0.9%の増となっております。

令和5年度主要事業

続きまして,令和5年度の主要事業について,新規事業を中心に申し上げます。

【高齢者福祉関係】

茨城県の「常住人口調査」では,当町の総人口に占める65歳以上の割合である高齢化率は,令和5年1月時点で46.1%と,県内でも2番目に高い状況にあります。高齢者が住み慣れた地域で,安心して暮らせるよう,その体制の整備に努めるのはもちろんのこと,健康寿命の延伸に繋がる取り組みは,大変重要となっています。こうしたことから,高齢者の心身の多様な課題に対応し,きめ細やかな支援を実施するため,後期高齢者医療広域連合から委託を受け,「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業」を昨年より開始しています。
低栄養や全身の健康状態にも影響するとされる口腔機能について,個別的支援や通いの場等への積極的な関与などを実施し,口腔機能向上に取り組んでいるところですが,今後は,それらに加えて,健康診査の結果などから分かった健康課題に対して,個別的支援を行い,各課および関係機関と連携を取りながら,一体的に高齢者の健康づくりへの取組みを充実させていきたいと考えております。

【農業振興・農村環境整備・商工観光関係】

続いて,農業振興関係です。県営 利根西部地区基盤整備事業につきましては,第2期地区の文小学校付近から利根中学校付近までの,早尾,横須賀地区において,令和4年度に荒整地工事を行っている区域の,令和6年の作付け開始に向け,パイプライン敷設等の仕上げ工事と用水機場2カ所の建設が行われます。
また,南部地区につきましては,第1期地区の羽中地区より,荒整地工事に着手されることとなっています。 
次に,商工関係です。令和3年度から進めている「とねまち起業塾」は,先日,第2期生となる6名が卒業し,現在は,令和5年度に実施する,第3期生の募集に向けて準備を進めているところでございます。
昨年度,卒業した1期生の中には,すでに町内の空き店舗を使って,独立開業という夢を叶えた方もおり,起業塾での学びが早くも実を結んだことを,大変嬉しく思っております。
今後も,町の商業活性化を目指し,一人でも多くの方が起業の夢を叶えられるよう,町としても「空き店舗バンク制度」や,「チャレンジショップ事業」などと併せ,包括的な創業支援を推進してまいります。

【道路整備関係】

続きまして,道路整備関係についてです。
幹線道路の老朽化に伴い,利根川沿いの町道109号線及び立木地内の産業道路の舗装修繕を実施したいと考えております。
生活道路といたしましては,地元の皆様のご理解,ご協力をいただきながら,引き続き羽根野台の道路修繕,新たに,布川台及び布川東の道路修繕に着手したいと考えております。
また,町の幹線道路である,町道112号線の道路拡幅工事を引き続き実施してまいります。令和5年度につきましては,立木地内の,農免道路交差点から,県道取手・東線の,中谷交差点までの区間において,道路拡幅工事の調査費を予算計上しております。
次に,茨城県の事業ではございますが,町道103号線の延伸事業及び県道取手・東線バイパス事業につきましては,引き続き,道路整備に向けた事業が進められることとなっております。

【消防・防災関係】

続きまして,防災関係でございます。
防災力の向上を目的に,防災アドバイザーを活用した職員の防災意識改革を行います。
主な内容といたしましては,防災意識度調査による現状の把握,職員研修,役職別に防災アドバイザーによる防災講演の実施等を予定しています。
徹底的に各部署で防災活動について考え,まずは,職員から防災意識改革を図ってまいります。
次に,災害時の的確な情報収集を目的として,今年1月に,ドローン産業株式会社と「災害時における無人航空機の運用による支援活動に関する協定」を締結したところでございますが,これにより,災害時にドローンによる,上空からの情報収集が行えるようになりました。
しかしながら,災害状況によっては,協定先の操縦者が不足する可能性があることから,人員を確保するため,町職員がドローンの操縦技術を習得し,さらなる災害対応の向上を図ってまいります。
次に,自主防災組織活動支援補助金につきましては,昨年11月に実施した,自主防災組織と町による防災訓練で,26地区と,多くの地区に参加いただきました。今後,全地区で自主防災組織をより活性化していただきたいと考え,地区のニーズに応えられるよう,補助対象の幅を広げ,2万円を限度額とした補助金を新たに創設したいと考えております。

【学校教育・生涯学習関係】

続いて,教育・生涯学習関係についてです。
全国的に,中学校の休日の部活動を,地域の社会教育活動へと移行する取組が進められています。
当町においても,令和4年度は,利根中学校における休日の運動部活動を,年間10回,「すぽかるとね」という名称で,地域のスポーツ活動へと移行する取組を実施してまいりました。
令和5年度は,「すぽかるとね」の活動回数を,年間20回まで増やすとともに,美術部や吹奏楽部を含めた,文化部活動についても,地域のクラブ活動とすることで,地域と一層連携した,新たなスポーツ環境,新たな文化活動をもつ,全国的にも先進的な地域づくりを推進していきたいと考えております。
次に,令和5年度から一小一中体制となる利根町の学校教育を強みとしてとらえ,全町民が一丸となり,町の学校教育の充実のために,意見を出し合い,力を合わせながら,学校づくりに参画できる仕組みをもつ,いわゆるコミュニティ・スクールを,令和6年4月に立ち上げるため,準備を進めてまいります。具体的には,利根町の学校教育に見識の深い人材を,コミュニティ・スクール指導員として雇用し,利根町の教育資源となる,地域の関係団体や地域人材を,積極的に学校教育と結び付ける取組を行い,これまで以上に,地域と学校とが密接に結びついた,利根町ならではの学校づくりを推進してまいります。
学校施設につきましては,築39年が経過し,老朽化の進んでいる利根中学校屋内運動場の長寿命化改良工事に向けての設計業務を令和5年度に予定しております。こちらは学校施設の改善を図り,安全で安心な学習環境を確保することを目的としており,利根町学校施設長寿命化計画に則って事業を行っております。
次に,子育て世代である保護者の方々の経済的負担軽減を図ることを目的に,町内小中学校の児童生徒の保護者から徴収している,給食費の,2割を減額いたします。減額をした分の給食賄材料費については,町が負担することにより,学校給食の量と質は,これまでと同様に維持してまいります。
次に,利根町学校跡地体育施設事業につきましては,文小学校及び文間小学校の学校跡地利活用について,「利根町学校跡地利活用方針」及び「利根町学校跡地利活用計画書」をとりまとめました。
この利活用方針に基づき,令和5年度から暫定活用として,体育館及びグラウンドを,町民団体等へ地域の活動拠点及び地域住民が活用できる施設として開放し,地域の身近な生涯学習活動の場として提供することで,生涯スポーツ・生涯学習活動の普及振興を図ってまいります。
次に,鎌倉街道についてです。
鎌倉街道は,貴重な町の歴史遺産として平成16年12月2日に町の指定文化財として指定されました。
鎌倉街道に,町内外から来訪者がいらした際,安心して街道内を散策していただけるよう,利便性を図ることを目的に,周辺景観に配慮した上で,環境整備として簡易トイレを設置いたします。
引き続き,美しい自然環境に恵まれた鎌倉街道を,魅力あふれる地域の文化財として発信できるよう,文化財の保存・活用を推進してまいります。

【総務行政一般】 

続きまして,総務行政一般について申し上げます。
平成30年8月から検討をはじめた自治基本条例も,検討委員の皆様のご協力により,これまでに28回の会議と住民説明会,パブリックコメントを経て,令和4年12月議会において,全会一致で可決され,本年4月1日より施行いたします。この条例の基本理念である協働によるまちづくりの実現のため,町民に対する積極的な情報提供や附属機関等における公募委員の募集等,町民参加の推進に努めてまいります。
次に,役場庁舎の大規模改修についてです。
町役場庁舎は,行政の中枢であるとともに,災害時には防災拠点としての重要な機能を担い,また,町民をはじめ数多くの人々が訪れる町民交流の場としての機能を有するなど,町の中心施設となっております。
平成元年の建設から35年が経過し,老朽化が課題となっていることから,施設の雨漏り対策の屋上防水工事や外壁の改修工事,空調設備・電気設備機器についても,庁舎機能の維持や安全確保のため,令和5年度・令和6年度の2か年で大規模改修工事を実施いたします。
次に,定住促進につきましては,移住定住PR動画を活用し,ヤフーのバナー広告やYoutubeのインストリーム広告といったWEB広告を実施するとともに,東京都内で開催する対面式の移住相談会にブースを出展し,PRを行ってまいりました。令和5年度については,新たに移住促進パンフレットを作成し,積極的に移住相談会にブースを出展するなど,さらなる効果的なPRを図ってまいります。
また,令和5年度より,「利根町結婚新生活支援事業補助金」を新設し,若い新婚世帯の定住促進を図ってまいります。本補助金は,婚姻に伴う住宅取得費用や住宅賃借費用等を補助するものであり,補助金額は,夫婦ともに29歳以下の場合は最大60万円,夫婦ともに39歳以下の場合は最大30万円で,いずれも世帯所得500万円未満であることが要件となっておりますが,これにより婚姻に伴う経済的負担を軽減することで,定住へとつなげていきたいと考えております。
次に,学校跡地利活用につきましては,令和4年度に利根町学校跡地利活用検討委員会の皆様のご意見と,住民アンケートを基に検討を行い,住民説明会,パブリックコメントを経て,文小学校は主に町内外から人が集まる複合施設として,文間小学校は主に総合教育センターとして利活用するという方針を取りまとめました。
校舎の利活用については,法律の関係もありまして,改修工事が必要となってきますので,令和5年度に設計,令和6年度に改修工事を行い,令和7年度から新しい施設として町民の皆様にご利用いただけるよう進めてまいります。先ほども申し上げましたが,グラウンドと体育館については,改修工事等が必要ないため,令和5年度より,暫定活用として町民の皆様に開放できるよう,準備を進めているところです。
次に,地域おこし協力隊についてです。こちらは,都市地域から過疎地域等に移住する方を地域おこし協力隊として委嘱し,町の課題解決のための取組や,隊員自ら企画した事業等を行っていただくことで,定住と地域活性化を図るものです。当町においては,令和3年度以降,募集を行っておりませんでしたが,地域課題を解決し,地域を活性化していくためには,やはり,町外の方の視点で,熱意と行動力を持って地域活動を行っていただける,地域おこし協力隊の協力が必要であると考えるため,令和5年度より募集を行ってまいります。
次に,自治体DX推進事業につきましては,デジタル技術やデータを活用して,住民の利便性を向上させるとともに,業務の効率化,行政サービスのさらなる向上を目指し,専門知識とノウハウを持った民間のデジタル専門人材を受け入れ,デジタル化を推し進めてまいります。
また,文小学校跡地の利活用方針のひとつに,町内外から人が集まる施設が挙げられており,若者から高齢者まで幅広い世代が交流しながら気軽にデジタルに触れていただける,eスポーツ施設について調査・検討するため,住民アンケートを実施してまいります。
次に,公共交通対策ですが,公共交通の課題への対応を図る観点からより良い公共交通施策の目指すべき方針を設定するとともに,町の公共交通であるタクシーや路線バスに加え,町が運行するふれ愛タクシーや福祉バス,また,社会福祉協議会が行っている福祉有償運送を含めた,地域公共交通のあり方の方向性を示す必要があります。さらには,今後も続く人口減少や高齢化に伴い多様化する利用者のニーズに対し,需給バランスの取れた効果的かつ効率的な運行が求められていることから,将来を見据えた地域公共交通サービスを構築する,地域公共交通計画を策定してまいります。

以上,令和5年度の主な事業について,新規事業を中心に申し上げました。
昨日,町内小学校3校の閉校記念式典が挙行され,文小,布川小,文間小の校旗がそれぞれ町に返還されました。そして,本年4月には「利根小学校」が開校いたします。
また,先ほども申し上げましたが,本年4月1日からは,まちづくりの基本的な考え方や町政運営の基本的なルールを定めた「利根町みんなのまち基本条例」が施行されます。
当町にとって,新たな一歩を踏み出す年になると思います。
総合振興計画に掲げる,まちづくりの将来像「ともに創ろう みんなが住みたくなるまち とね」の実現に向け,住民協働でまちづくりを進めていきたいと思います。
今後も創意・工夫した施策に,全力で取り組んでまいりますので,議員各位及び町民の皆様には,ご理解と,より一層のご協力をお願い申し上げまして,令和5年度の施政方針といたします。

 

 

                                                 令和5年3月2日

                                                 利根町長 佐々木 喜章

  ※以上は,令和5年3月定例議会の初日に述べた佐々木町長の施政方針です。本文は,口述筆記ではありませんので,実際の表現等に若干の違いがある場合がありますので,ご了承願います。

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