○利根町政治倫理条例

平成18年3月10日

条例第2号

(目的)

第1条 この条例は,町政が町民の厳粛な信託によるものであることを認識し,その受託者たる町長,副町長及び教育長(以下「町長等」という。)並びに町議会議員(以下「議員」という。)が町民全体の奉仕者として,人格と倫理の向上に努め,いやしくもその地位による影響力を不正に行使して,自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより,町政に対する町民の信頼に応えると共に,公正で開かれた民主的な町政の発展に寄与することを目的とする。

(町長等及び議員の責務)

第2条 町長等及び議員は,町民の信頼に値する倫理性を自覚し,町民に対し自ら進んでその高潔性を明らかにしなければならない。

(政治倫理基準)

第3条 町長等及び議員は,次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 町民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み,その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) 町民全体の奉仕者として常に人格と倫理の向上に努め,その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。

(3) (町が設立した公社並びに町が資本金,基本金その他これらに準ずるものを出資し,又は拠出している公益法人,株式会社及び有限会社を含む。第17条第1項において同じ。)が行う工事等の請負契約,下請負工事,業務委託契約及び一般物品納入契約に関して特定業者を推薦,紹介するなど有利な取り計らいをしないこと。

(4) 町職員の公正な職務執行を妨げ,その権限又はその地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。

(5) 町職員の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。

(6) 議員は,町職員の昇格又は人事異動に関して推薦又は紹介をしないこと。

(7) 政治活動に関して企業,団体等から寄付等を受けないものとし,その後援団体についても政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄付等を受けないこと。

2 町長等及び議員は,政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは,自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに,その責任を明らかにしなければならない。

(資産等報告書の提出義務等)

第4条 町長等及び議員は,毎年12月31日現在の資産,地位及び肩書並びに前年1年間の収入,贈与,もてなし及び税等の納付状況の報告書(以下「資産等報告書」という。)を毎年5月15日から同月31日までに,町長等にあっては町長に,議員にあっては町議会議長(以下「議長」という。)に提出しなければならない。ただし,町長等及び議員の配偶者及び扶養又は同居の親族の資産等報告書の提出は,別に定める。

2 資産等報告書には,必要な証明書類を添付しなければならない。

(資産等報告書の記載事項)

第5条 資産等報告書には,次の各号に掲げる事項を記入しなければならない。

(1) 資産

 土地 所在,地目,面積,取得の時期及び価額

 建物 所在,種類,構造,床面積,取得の時期及び価額

 不動産に関する権利(借地権等) 権利の種類,契約期日及び契約価額

 預貯金 預入れ金融機関名,預貯金の種類及び金額(ただし,50万円未満は除く。)

 動産 価額が50万円以上の動産の種類,数量,価額及び取得の時期(ただし,生活に通常必要な家具,什器及び衣類を除く。)

 信託 信託に関する権利の種類,受託者,信託財産の種類,数量,信託の時期及び価額(ただし,50万円未満は除く。)

 有価証券 公債,社債,株式,出資その他の有価証券の明細,取得期日,取得価額,額面金額及び時価額(ただし,50万円未満は除く。)

 ゴルフ会員権 ゴルフ場等の名称,口数及び時価額

 貸付金及び借入金 1件につき50万円以上の貸付金及び借入金の明細,契約期日及び金額

 保証債務 金銭保証,身元保証等の保証債務の内容及び金額(ただし,金銭保証については,同一人に対し総額50万円未満のものを除く。)

 貯蓄性保険 貯蓄性の生命保険,損害保険等の種類,保険会社名,契約期日及び保険金額

(2) 地位及び肩書

 企業その他の団体における役職名(ただし,宗教的,社交的及び政治的団体を除く。)

 公職を退いた後の雇用に関する契約その他の取決めについての相手方及び条件

(3) 収入,贈与及びもてなし

 給与,報酬,事業収入,配当金,利子,賃貸料,謝礼金,年金その他これらに類する収入の出所及び金額

 1出所当り3万円以上の贈与及びもてなし(交通,宿泊,飲食,娯楽等。)の出所,内容及び金額又は価額

(4) 税等の納付状況

 所得税及び事業税の前年分,町県民税,固定資産税,都市計画税,国民健康保険税及び軽自動車税の前年度分の納付状況

 普通地方公共団体に関する使用料等の前年度分の納付状況

(資産等報告書等の保存及び閲覧)

第6条 町長及び議長は,第4条の規定において提出された町長等及び議員,町長等及び議員の配偶者及び扶養又は同居の親族の資産等報告書及び証明書類を,提出すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。

2 何人も,町長及び議長に対し,前項の規定により保存されている資産等報告書の閲覧を請求することができる。ただし,第4条第2項の証明書類は閲覧の対象としない。

(政治倫理審査会の設置等)

第7条 政治倫理確立のため必要な事項の調査,審査等その他の処理を行うため地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定により,利根町政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は,委員6人で組織し,地方行政に関し識見のある者のうちから,町長が委嘱する。

3 審査会の委員の任期は,2年とし,補欠により選任された委員の任期は,前任者の残任期間とする。ただし,再任は妨げない。

4 審査会の委員は,職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(審査請求)

第8条 議員及び町民は,町長等及び議員がこの条例に定める政治倫理基準に反する行為をした疑いがあるときは,これを証する資料等を添えて,次の各号により町長等に係るものについては町長に,議員に係るものについては議長に審査請求することができる。

(1) 議員の審査請求は,3人以上の議員の署名を添えなければならない。

(2) 町民の審査請求は,地方自治法第18条に定める選挙権を有する者(以下「有権者」という。)の総数の100分の1以上の者の署名を添えなければならない。

2 前項の規定により審査請求があったときは,議長は,議員に係る審査請求書及び添付書類の写しを町長に送付し,町長は,町長等又は議員に係る審査請求書及び添付書類の写しを審査会に速やかに提出し,審査を求めなければならない。

(審査会の審査)

第9条 審査会は,前条の規定により審査を求められたときは,当該審査請求の適否及び政治倫理基準等に反すると認められるかどうかについて,これを審査する。

2 審査会は公開するものとする。ただし,出席委員の3分の2以上の合意により非公開とすることができる。

3 審査会は,第1項の規定により審査を求められたときは,その日から起算して60日以内にその結果に関する報告書(以下「意見書」という。)を作成し,町長に提出しなければならない。

4 町長は,前項の規定により提出された意見書のうち,議員に係る意見書を議長に送付しなければならない。

5 町長及び議長は,前2項の規定により提出又は送付を受けたときは,速やかにその写しを審査請求者に送付しなければならない。

(審査会の調査権限)

第10条 審査会は,審査のため必要があると認めるときは,町長等,議員その他関係人に対し,説明又は資料の提出を求めることができる。

2 審査会は,前項に定めるもののほか,有権者その他適当と認める者に意見を聞くことができる。

(意見書の保存及び閲覧)

第11条 町長及び議長は,第9条第3項及び第4項の規定により提出又は送付を受けた日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。

2 町民は,町長及び議長に対し,前項の規定により保存されている意見書の閲覧を請求することができる。

(虚偽報告等の広報)

第12条 町長及び議長は,町長等及び議員が第4条の規定による資産等報告書の提出の遅滞があったとき若しくは虚偽の報告があったとき又は審査会の調査に協力しなかったときは,その内容を広報誌で速やかに公表しなければならない。

2 第9条の規定による審査会の審査結果についても,前項の規定を準用する。

(職務関連犯罪容疑による逮捕後の説明会)

第13条 町長等又は議員が,刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの各条及び第198条に定める贈収賄罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑による逮捕後,引続きその職にとどまろうとするときは,町長等にあっては町長に,議員にあっては議長に,町民に対する説明会の開催を求めることができる。この場合,当該町長等又は議員は,説明会に出席し釈明するものとする。

(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)

第14条 町長等又は議員が職務関連犯罪による起訴後,引続きその職にとどまろうとするときは,町長等にあっては町長に,議員にあっては議長に,町民に対する説明会の開催を求めなければならない。この場合,当該町長等又は議員は,説明会に出席し釈明しなければならない。

2 町民は,前条又は前項の規定による説明会が開催されないときは,有権者50人以上の連署をもって,説明会の開催を請求することができる。

3 前項の開催請求は,逮捕後の説明会にあっては起訴又は不起訴の処分がなされるまでの間に,起訴後の説明会にあっては起訴された日から50日以内に,町長又は議長を通じて行うものとする。

4 町民は,説明会において当該町長等又は議員に質問することができる。

(職務関連犯罪による第1審有罪判決後の説明会)

第15条 町長等又は議員が職務関連犯罪による第1審有罪判決の宣告を受け,なお引続きその職にとどまろうとするときの説明会の開催については,前条の規定を準用する。ただし,開催請求の期間は,判決の日から30日を経過した日以後20日以内とする。

(職務関連犯罪による有罪確定後の措置)

第16条 町長等又は議員が前条の有罪判決の宣告を受け,その刑が確定したときは,公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き,町長等又は議員は,町民全体の代表者としての品位と名誉を守り,町政に対する町民の信頼を回復するため,辞職手続きをとるものとする。

(町工事等に関する遵守事項)

第17条 町長等及び議員又はその配偶者,2親等以内若しくは同居の親族(以下「関係者」という。)が役員をしている企業又は町長等及び議員が実質的に経営に携わる企業(以下「関係企業」という。)は,町長等及び議員の兼業禁止を定めた地方自治法第92条の2,第142条,第166条,第168条及び第180条の5の規定の趣旨を尊重し,町が行う工事等の請負契約,下請負工事,業務委託契約及び一般物品納入契約を町民に疑惑の念を生じさせないよう辞退しなければならない。ただし,1回の契約につき20万円未満は除く。

2 前項に規定する「実質的に経営に携わる企業」とは,次に掲げるものをいう。

(1) 町長等及び議員が資本金その他これらに準ずるものの5分の1以上を出資している企業

(2) 町長等及び議員が年額5万円以上の報酬(顧問料等その名目を問わない。)を受領している企業

(3) 町長等及び議員がその経営方針に関与している企業

3 町長等,議員,関係者又は関係企業が第1項の規定による辞退をするときは,町長等にあっては町長に,議員にあっては議長に辞退届を提出するものとする。この場合において,関係者又は関係企業は,関係する町長等又は議員を通じて辞退届を提出するものとする。

4 前項の辞退届は,町長等及び議員の任期開始の日から30日以内に提出するものとする。

5 議員に係る辞退届については,議長は,その写しを町長に送付しなければならない。

6 町長及び議長は,辞退届の提出状況を広報誌で速やかに公表しなければならない。

(委任)

第18条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は,平成18年4月1日から施行する。

(政治倫理の確立のための利根町長の資産等の公開に関する条例の廃止)

2 政治倫理の確立のための利根町長の資産等の公開に関する条例(平成7年利根町条例第26号。以下「町長の資産公開条例」という。)は,廃止する。

(利根町議会議員政治倫理条例の廃止)

3 利根町議会議員政治倫理条例(平成15年利根町条例第8号。以下「議員政治倫理条例」という。)は,廃止する。

(経過措置)

4 この条例施行の際,現に町長の資産公開条例及び議員政治倫理条例の規定に基づいて提出されている町長及び議員の資産等報告書等で,この条例により提出すべきものとされているものについては,この条例の相当規定に基づいて提出されたものとみなす。

5 議員政治倫理条例の第17条の規定により提出されている辞退届は,この条例の施行後においても,なおその効力を有する。

(辞退届の提出期限の読替え)

6 この条例の施行の際,現に町長等である者の第17条第4項の適用については,「任期開始日」とあるのは「この条例の施行日」と読み替えるものとする。

(平成19年条例第10号)

この条例は,平成19年4月1日から施行する。

(令和3年条例第18号)

(施行期日)

1 この条例は,令和4年4月1日から施行する。

(令和4年条例第2号)

この条例は,令和4年4月1日から施行する。

利根町政治倫理条例

平成18年3月10日 条例第2号

(令和4年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 長/第1節 事務分掌
沿革情報
平成18年3月10日 条例第2号
平成19年3月15日 条例第10号
令和3年12月13日 条例第18号
令和4年3月23日 条例第2号